「経絡内の電気的等価回路」
本山 博 本山生命物理学研究所所長
講義要旨
1、経絡内のエネルギー発生装置と電気的等価回路
(1)真皮結合組織内の電気エネルギー発生装置
これまでの本山所長の研究で、経絡が真皮結合組織内を走行することがわかっています。昨年、いくつかの経絡と経穴を選び、真皮内の電位を測定しました。その結果、真皮内の経絡には、おおよそ、135~1,200mVの電圧があることがわかりました。これにより、真皮内の経絡には、電位を発生する装置があり、電気エネルギーの伝達を行っていることが、推測されます。
(2)経絡内の電気エネルギーの伝達
経絡内の電気エネルギー(気のエネルギー)の伝達経路と速度に関する実験は、「気の流れの測定・診断と治療」の中で、詳述されています。経穴に弱い刺激(電気的刺激、温灸、置針など)を与えると、関連のある他の経穴上(神経の走行とは一致しない場所)で電気的反応が出ることが確認されています。またこの電気エネルギーの伝導速度は3.7cm~50cm/秒であり、神経伝導速度(50cm~100m/秒)より遅く、経絡上を流れる気のエネルギーによる反応だと考えられます。
(3)表皮、真皮内の電気的等価回路
三焦経の真皮内電位をフーリエ変換すると、周波数が0.08Hzから5Hzで、最大で200μVの電位が確認されました。よって、(1)で確認された真皮内の電位は、直流電位が主であるが、交流電位もあると考えられます。これと、今までの研究結果から、抵抗、コンデンサー、直流電位、交流電位からなる、表皮、真皮内の電気的等価回路を考案しました。実際のAMIの測定データから、抵抗値、コンデンサーの電気容量、直流電位、交流電位を計算し、AMI波形をシミュレートしたところ、実際のAMIの波形とほぼ一致しました。
2、陰陽の経絡における気の流れの方向
表皮、真皮内の電位を心包経、三焦経の3経穴、肺経の2経絡について測定しました。その結果、陰経である心包経、肺経の真皮内では、気のエネルギーが下から上に流れ、陽経である三焦経では、気のエネルギーが上から下に流れることが確認されました。これは、古来から言われている、気の流れの方向と一致しています。
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